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コロナウイルスによる休業手当について


1.イベントの中止や臨時休業の増加

 2月26日の安倍総理が、イベントの開催に関するメッセージを発表しました。この要請により、多くのスポーツイベント、コンサート、がイベントの中止、3月15日までの延期、デパート、観光施設等が、臨時休業を発表しました。さて、今回の政府の要請による休業が、労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払う、使用者の責に帰すべき事由に該当するのでしょうか?


2.今回のケースで休業手当が必要でしょうか?

 使用者の責に帰すべき事由に当たらない「不可抗力」の休業であるためには次の2つを満必要があります。


 ①その原因が事業の外部より発生した事故であること

 ②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない

  事故であること


 今回のケースは」①に該当するとして、②は現業系の仕事で、他の仕事のサポートやメンテナンス等も。すべてやり尽くしてしまった場合には、②にも該当するように思えます。


 一方、行政通達ではありませんが「労働法(第7版補正二版)」(菅野和夫著)によると「休業手当支払義務を生ぜしめる休業の事由としては、機械の検査、原料の不足、流通機構が円滑に昨日しなかったために資材を入手するのが困難になったこと、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難などが考えられます」(下線小職)とのことから、国の要請は監督庁の勧告に近いと考え、菅野労働法説からすると、休業手当が必要であるように考えられます。


 バシッと結論が言えずに歯がゆいところですが、上記と以下のQAから、経営者は最大限の休業回避をしないといけないこと、国の要請も命令ではなく要請であることから、直ちに休業手当を支払わなくても良いとは言えないように思います。しかし、政府の要請により保護者の休業手当補助するとのニュースを見るようになりました。ということは、政府の要請による場合には、休業手当の支払い義務がないと考えられるため、休業手当補助を行うとも推測できます。また、QAにも記載があるように労使での協議の余地はあるように思いました。


以下QA抜粋 下線は小職記載

<休業させる場合の留意点>

問1 新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。


コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。

なお、賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。」

不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。ここでいう不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。


3.まとめ

 経営者にとって悩ましいところだと思います。雇用調整助成金の活用(全員で行う短時間休業も対象になります)、休業手当相当の6割以上を確保した短時間休業、今まで取得できなかった年休の取得促進、教育訓練、時間が取れずにできなかった重要だけど緊急性がない業務等に取り組むこと等が考えられます。

 先行きが見えない不安と戦うより、まずは専門家に話して整理をすることが重要です。休業手当については、所轄の労働基準監督署、契約している弁護士、社会保険労務士にご相談してみてください。  

 

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