北陸出張に行って、寿司と日本酒を楽しんで帰りたい!(富山の寿司とお酒はいいですよね!)できれば温泉も入りたいと考えているこの頃です。前回に続いて出張シリーズです。さて、出張中に所定労働時間を超えて労働することや、出張から戻って残業をするケースもあると思います。このようなケースについて考えてみましょう。前提として、事業場外労働のみなし労働時間制を適用していることにします。
1.出張中に会議や打合せが長引いて終業時間を超えた場合
出張の場合、所定労働時間労働したとみなしている会社が多いと思います。通常所定労働時間で終了する場合には、所定労働労働したとみなしても問題ないと思われます。しかし、上司と同行する場合、その場に管理監督者がいたりする場合または当初のスケジュールから終業時間を超えて働くことが明らかな場合には「使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務」にはならない(労働時間を把握できるでしょ!)と判断される可能性があります。
2.出張から戻って残業した場合
例:終業時間18時の会社で、出張から戻ってきて19時から21時まで残業した場合にはどうなるでしょうか?
出張中の移動時間は、移動中に業務の指示等がない場合、労働時間にならないことを前回説明しました。また、移動時間も含めて所定労働時間労働したとみなすため、会社に戻ってきた19時から21時までが残業になります。
3.内勤して終業時間を超えてから外勤した場合
例:終業時間18時の会社で、18時まで内勤してから外勤に出て、20時に打合せが終了した場合。
所定労働時間外から外勤をしていることを把握できるので、所定労働時間労働したとみなすことは難しいでしょう。実務的には、終業時間を電話等で確認して、18時から20時までを時間外労働として取り扱うことになるでしょう。
例:15時まで内勤してから外勤に出て、19時に打合せが終了した場合。
通常所定労働時間で終了する場合には、所定労働時間労働したとみなしても問題ないと思われます。でも、会社に電話連絡や報告書の提出を求めている場合や所定労働時間超過するのが通常とみられるときは、そもそも所定労働時間労働したとみなすことができないことになります。
4.始業時間前に外勤してから内勤した場合
例:始業時間9時の会社で、お客様と8時から打合せをしてから、10時に出勤した場合。
例えば、会社が8時から打合せをすることを把握している場合、所定労働時間外に働くのが明確なため、所定労働時間労働したとみなすことは難しいでしょう。8時始業として取り扱う必要があります。ただし、直行直帰で営業するような場合には、労働時間を算定しがたいため、所定労働時間労働したとみなしても問題ないと思われます。実務的には、その日の総労働時間が所定労働時間を超えないように業務を終了させる等の配慮が必要だと思います。
5.まとめと対策
使用者が、割増賃金の抑制のため、みなし労働時間制を運用したいというお気持ちはわかります。しかし、みなし労働時間が所定労働時間を超えているのが実態であれば、そろそろ厳しいように感じています。また、4月以降の安衛法改正により、みなし労働時間制の労働者も「労働時間の状況の把握」が義務になることから「事業場外労働での業務に従事していても、指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務ではない」という指導が増えていくのではないかと感じています。
今後も、所定労働時間のみなし労働時間制を適用するなら、実態の労働時間を所定労働時間に近づけるか、実態に応じた時間で労使協定を締結して賃金を支払う、又はできる限り直行直帰を活用する等の方法が考えられます。是正勧告になってから対応するには時間もかかると思います。対策は早くから検討だけでも行っておいたほうが良いと思います。人事部門との打合せに専門家として参加してアドバイスを行うサービスもあります。お気軽にご相談ください。
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